ウズベキスタンでビジネスはできるか

ウズベキスタン
スポンサーリンク

中央アジアにおけるビジネスの成功例

 外国について知ると、今度はそれでビジネスができないかと考える人達がいます。では、ウズベキスタンについては、どうでしょうか。
 信用できないことが多い旧ソ連圏……中央アジアの国々ですから、もちろん一筋縄ではいきません。ただ、絶対に無理ということもありません。

 例えば、宏輝という会社があります。本社は東京にありますが、拠点となる合弁会社は中央アジア各所に存在します。医薬品のメーカーで、甘草の栽培と加工を主要な事業としています。
 甘草は、漢方薬の材料になるマメ科の植物です。その名の通り、甘い味がするので、薬としてだけでなく、甘味料として用いられることもあります。中央アジアには、甘草の栽培に適した環境があるのです。

問題は信用度

 とはいえ、宏輝は数少ない成功例です。
 どうしてもロシア関連の事業というのは、難しさが伴います。とにかく信用度が低いのです。

 よくあるお話ですが、日本から何かを輸出して、代金をもらう……一度目、二度目のやり取りでは問題なかったけど、三度目で代金の支払いがない。トンズラされてしまう、と。こういう話がまったく珍しくありません。
 だから、日本の商社も中央アジアを相手にしないことが多いです。とある綿花を扱うバイヤーの方に話を伺ったところ

「アラル海? ウズベキスタン? あそこからは買い付けない。信用度が低すぎて手を出せない」

 などとおっしゃっていました。

 一方で、大企業が進出しているケースは、割とみかけます。ですが、これも「ビジネス」とは言い難いところがあります。
 例えば、三菱重工が二千億円かけて橋梁の建設をする、とか。でもこれは、いわゆる政府開発援助です。つまり、財布は日本政府持ち、一応借金ということにはなっていますが、ウズベキスタン政府がそれを返済した例はありません。要は外国への支援の形をした天下りビジネスです。お金はほとんど日本国内でグルグル還流しているに過ぎません。

将来性はある、が……

 ウズベキスタンに将来性がないわけではありません。

 その人口は中央アジアで最大、出生率も高く、今では四千万人ほどにもなるといいます。しかも、その多くが若年人口という点が重要です。
 人々の教育水準も高く、識字率もさりながら、大抵の人がマルチリンガルという点も見逃せません。ウズベク語、ロシア語は基本で、南部ならタジク語も話せるのが普通です。とある女性は、四ヶ月で英語がペラペラになったと言っていました。自慢ではなく、それが当たり前なのです。
 経済成長も順調で、天然ガスといった資源にも恵まれています。観光資源という点でも、サマルカンドをはじめとした史跡の数々があります。
 また、イスラム圏ではありますが、世俗国家でもあります。ワインも製造しますし、都市部ではこっそり豚肉を食べる人もいます。女性も髪を隠してはいません。私のように、ナヴォイ劇場前で売春を持ちかけられる観光客がいるほどに、宗教的な束縛が弱い土地柄でもあるのです。
 こうした中央アジアの可能性に目をつけた中国が「一帯一路」構想をぶちあげて、自国の経済圏に組み込もうとするのも、当然といえるくらいです。

 しかし、そこに食い込むのが難しいのです。
 権力は旧ソ連時代と変わらず、官僚が握っています。だから、権力にアクセスできるルートを持っていないと、ろくに貿易もできません。特に、金などの資源にかかわるビジネスは、本当に一部の特権階級が独占しています。
 また、内陸に位置するため、物流という点では難があります。コンテナに積むような物を運ぼうと思ったら、あちこちの国境を越えなくてはいけません。

法制度や外交関係も追いついていない

 ならば、物理的なモノをやり取りしなければいいのでは?
 ですが、日本とは最恵国待遇の関係を取り結んでいないので、一部の業務には余計な関税がかかります。たとえば、旧ソ連圏には優秀なプログラマーが多いから、とシステム開発をウズベキスタンの企業に発注した場合、これは「役務」ということになり、およそ20%の課税となります。
 ウズベク人は言語能力が高いし、位置的にも日本と時差は四時間、ユーラシア大陸のどこを相手にしてもコールセンターができるじゃないか! そう思っていた時期が私にもありました。でも、そもそもスカイプが禁止されるお国柄です。個々人が政府の監視の行き届かないところで海外と繋がるなど、許されようもありません。

結論、個人では難しい

 結局、シルクロードに憧れた日本の一般人が手がけることになるのは「スザニ、アトラスの販売」です。五千円もするアトラスのネクタイ、とか。
 まぁ、売れません

スザニの輸入販売……そう数が捌けるはずもなし

 個人レベルで食い込める国ではないようです。

 ただ、追加情報として述べておくなら、ウズベキスタンは「仮想通貨の売買益に課税しない国」です。
 ですので、日本で資産を仮想通貨にして、物価の安いウズベキスタンでチャンスを待ち、値上がりと同時に売り捌く! という夢もないでもありません。ありませんが……

 食事情もさることながら、ウズベキスタンでは肝炎が蔓延しています。ミノファーゲンが飛ぶように売れる国です。
 安全に長期滞在する自信があるのなら、どうぞといったところでしょうか。

タイトルとURLをコピーしました