アメリカ旅行の移動手段:総論

アメリカ合衆国
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ホテルも食事もお土産も、みんなどうでもいい

 アメリカ旅行においては、どうでもいいことと、特に研究を要することとがハッキリ分かれています。先進国であるがゆえに、いくつかの問題は、特に考慮するに値せず、さほど大きな苦労にはならないためです。

 具体的には、ホテル食事お土産については、いちいち考えるまでもありません。

 ホテル? 日本からでもウェブ予約しておけばいいですよね。行き当たりばったりの旅をするなら別ですが、そうでもないなら、あちらでカタコトの英語で大汗流しながら空室の有無を確認するより、ずっと効率的です。
 食事は、おいしくないかもしれませんが、最低限食べられるものは出てきます。ニューヨークのマクドナルドで食べた朝食、あれは本当にまずかったです。多分チーズですが、実のところ正体不明のオブジェクトでしかありませんでした。臭いもひどかったし……でも、食べてお腹を壊したりはしません。
 お土産は……定番はハーシーチョコとか、そんなものしかありませんが、あれ、おいしいんでしょうかね? いつも誰かがアメリカに行くたび買って帰るんですけど、変な風味というか、大味というか、日本のそこらのコンビニで売ってるチョコのが確実に高品質です。第一、日本でも手に入りますし。

 というわけで、問題にはなりません。
 では逆に、研究を要することとは何でしょうか?

移動手段は4種類

 移動手段です。
 アメリカ国内の移動手段は、大きく分けて、四つです。

 この四つを大きく二種類に分類すると、レンタカーそれ以外に区別できます。
 理由は簡単。レンタカーはどこにでも行けますが、それ以外は決まった出発地から目的地までを結ぶだけです。あとは予算とムード、所要時間と運行のタイミングだけが問題です。バスや鉄道なら、車窓の風景を楽しむことができます。飛行機は上空高く舞い上がってしまうので、さっきまでいた場所との連続性を目に焼き付けることはできませんが、なんといっても早いし、地上の路線の繋がらない場所に直行できるので、便利です。
 しかし、どこまでいってもこれらの交通手段は、決まった場所にしか到着できません。だから、旅の自由度を上げるためには、レンタカーの使用を視野に入れなければならなくなります。

 目的地が都市部とその近辺に限られる場合は、問題は小さいです。多少、小回りのきかないところもありますが、必要なところはタクシーで補いつつ、自分で車を運転するというリスクを回避できます。
 しかし、国立公園などの大自然を自由に見てまわろうとすると、これが無視できない壁になって立ちはだかります。あくまでレンタカーを使いたくないということであれば、パックツアーを利用するとか、目的地を絞り込むとか、何か対策を考えなくてはいけません。

優先順位の判断方法

 どの交通手段を用いるか、ですが……
 私なら、次の順位で旅程を決めるべきと考えます。

 1.国内線航空機
 2.アムトラック(鉄道)
 3.グレイハウンド(長距離バス)
 4.レンタカー

 まず、国内線で目的の都市に飛ぶことを検討します。
 ただ、飛行機の場合は2時間前に空港にいなければいけませんし、マイナーな都市間では本数も限られます。なので、場合によってはその他の交通手段のほうが便利ということも考えられます。あとは車窓の風景を楽しみたいか、という点も加味して、他の交通手段で代替しない場合に飛行機での移動を選択します。

 その次に、鉄道が通っていないかを確認します。

アムトラック路線図

 鉄道はアムトラックを使うことになるでしょう。この路線図を見てもわかる通り、西部は東西の移動が中心で、かなり広い範囲で南北の移動に不自由があります。シカゴが鉄道の結節点になっていて、そこからいろんなところに行けるようになっています。
 鉄道は割高ですが、その分快適で、安全度も高いです。その上、ちょっとだけですが、列車のが速いようです。

 しかし、鉄道で移動しにくい、特に西部地域を南北に、しかも飛行機に乗るほどでもない距離を移動するとなると、これはもう、グレイハウンドの出番です。
 こちらも例によって路線図を見ると、西側より東側のほうが圧倒的に目が細かくて、アクセスがいいです。それでも、ロスアンゼルスから直接ソルトレークシティに行こうと思ったら、これを使わざるを得ません。また、鉄道の路線図にはラスベガスがありませんが、ここからも各地に長距離バスが出ているので、やはり利便性があります。

 それでもカバーしきれない短距離の移動を、レンタカーでこなすというイメージです。

具体例1:ニューオーリンズ→メンフィス

 例えば、ニューオーリンズからメンフィスまで行くとして、この場合は鉄道もグレイハウンドも、どちらも利用可能です。ついでに国内線航空機も利用可能です。レンタカーで移動してもいいでしょう。

 しかし、この場合、レンタカーを使うのは最も損する選択です。まぁ、途中停車の自由はありますが、自分で運転しなければいけないので、事故の危険もあれば、道を間違える可能性だってあるのです。

利用できるならレンタカーよりはバスのが楽

 そうなると、次はグレイハウンドです。だいたい10時半かかります。メリットは、割安ということに尽きますが、一応車内にはWIFIもあり、電源も利用できます。あまり清潔ではないようですが、トイレもあります。但し、狭い座席からほとんど離れることはできません。

アムトラック

 もう少し快適な旅をしたければ、アムトラックの出番です。例えば、13:45~22:20のニューオーリンズ~メンフィス行きに乗れば、午前中はニューオーリンズを歩き回り、午後になってから列車でゆったりできます。列車には食堂車もついていますし、立って歩き回ることもできるので、長距離バスよりは疲れずに済むでしょう。
 なお時間を節約したければ、飛行機の出番です。こちらはサウスウエスト航空からデルタ航空まで、数社が発着しています。安いもので25,000円程度から、高くて36,000円と、決してお財布に優しくはありませんが、到着までにかかる時間は4時間程度と、圧倒的に楽です。タイミング次第では、午前中の観光と、夜のメンフィスでの観光と、両方楽しめるかもしれません。

具体例2:ラスベガス→各種国立公園→イエローストーン

 上記のルートでは、このように四つの選択肢すべてが検討可能でした。
 しかし、西部地域の旅では、それが難しくなります。

 例えば、成田からラスベガスに飛んで、そこからグランドキャニオンその他の国立公園を見てまわるという旅程を計画した場合、まず鉄道が使えません。西部を南北方向に移動しなければならないからです。
 目的地を絞り込んで、グランドキャニオンやザイオン国立公園を見たら、その他のユタ州南部の国立公園は諦める、というのであれば、どちらも日帰りでラスベガスに戻り、そこから飛行機でどこかに移動する、というのも手です。

その場合、アーチーズ国立公園などユタ州東部の公園は諦める

 或いは、飛行機を使う代わりに、ラスベガスから一気にソルトレークまで8時間かけてグレイハウンドで移動してもいいです。
 それがいやで、あくまでどれもこれも見てまわろうと思うなら、これはもう、レンタカー以外の選択肢がありません。なんとかソルトレークまで自力で運転することになるでしょう。
 ソルトレークまで出てしまえば、あとは何とかなります。リンク先の路線図では、直接ソルトレークからボーズマンに出るルートはなさそうに見えるのですが、ウェブサイトで検索すると、9時間15分のルートが見つかります。
 或いは、ラスベガスから飛行機で飛ぶなら、直接、ボーズマンを目指してもいいでしょう。

 このように、ルート選びが複雑になることもあるのです。
 アメリカ旅行の要点は、とにかく移動手段の研究にあるということができそうです。

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