日本人に人気の地域
既にアメリカの観光地を網羅したリストはありますが、これではさすがに目が粗いといいますか、あまりにアッサリしすぎています。なので、具体的に地域ごとの攻略方法を書いていきたいと思います。
本当は街一つ、公園一つで独立した記事にできるだけの分量があるのですが、それは他でも見られるのでここでは書かないつもりです。旅先でどんな感動を得られるかまで描いてしまっても仕方がないですし、必要なのはどうやって目的地を取捨選択するかですから。
とはいえ、西海岸南部というだけでも、本が1~2冊は書けるくらいの代物ですが……
サンフランシスコとその近郊
サンフランシスコからですが……
取り上げるポイントが多すぎるので、順序を追って説明します。
まずは街並みを楽しむところから。
徒歩もでもいいですが、身軽に動きたければ自転車を借りるのがいいでしょう。

ダウンタウンの中心、ユニオンスクエアから北に向かうと、フィッシャーマンズワーフに到着します。もともとはイタリア人漁師の船着場でしかなかったのですが、今ではここも観光地です。
ピア39にはアシカが大勢いて、観光客はカワイイカワイイと写真を撮りますね。ただ、夏場(6~7月)には繁殖期になるため、見られなくなります。

ここからアルカトラズ島観光に行くこともできますが、先に行くか後に行くかは、予約の時間次第です。ウェブサイトで予約可能なので、先にチケットをとっておきましょう。混雑するので、現地についてからでは行けないかもしれません。
アル・カポネが収容されていたことで有名な、いわゆる「監獄島」です。

フィッシャーマンズワーフ(ピア41付近)で自転車を借りることができますので、そこから西に向かって走り出しましょう。
どれだけ先を急ぐかによりますが、1時間ちょっとでゴールデンゲート・ブリッジに到着できるはずです。ただ、観光ですので、先を急ぐことに意味はありません。途中、カフェなどにも立ち寄りながら、風景を楽しみつつ進むのがいいかと思います。
ただ、春から初夏にかけては、サンフランシスコは霧が出やすくなっています。天気予報をよく確認して、午前に行くか、午後に行くかを選びたいところです。
橋を渡った先がサウサリートです。
1960年代に移り住んだアーティスト達が築いた美しい街です。のんびり散策するのがいいでしょう。
帰りはフェリーでもいけますが、混雑が予想されます。

これだけのルートで、既に半日以上は消費することになると思うので、続きはダウンタウンの観光がいいでしょう。
フィッシャーマンズワーフから南下すると、まずイタリア人の街であるノースビーチ、続いてチャイナタウンが見えてきます。もし午前中をゴールデンブリッジ方面の自転車観光に費やしたのであれば、ここらで昼食をとるのもいいかもしれません。
ダウンタウンの中心部には、いくつもの博物館があります。中でもサンフランシスコ近代美術館は、アメリカでも屈指の規模です。だいたいこういう美術館は夕方には閉館になってしまうので、残念ながら昼食後の半日では、ゆっくりなら一箇所、急ぎ足でも二箇所が限度でしょう。
或いは、まだ日が高いうちにあえてダウンタウン以外を見てまわるというのも手です。
ダウンタウンの外側にも、リージョン・オブ・オナー美術館やウォルト・ディズニー・ファミリー博物館といった見所があります。どちらもゴールデンゲート・ブリッジに近いのですが……こちらを見る場合、自転車観光の時間が延びる感じになりますね。
また、ミッション地区をブラ歩きするのも楽しいかもしれません。ヒッピーの街でもあり、ゲイの聖地でもあるヘイトアシュベリーを散歩するのもいいです。

夜は夜で、暇にはなりません。
シビックセンターには戦争記念オペラハウスや、サンフランシスコ交響楽団の演奏を楽しめるルイス・デイヴィス・シンフォニーホールなどがあります。オペラ、バレエ、ミュージカルとなんでも揃っているのが素晴らしいです。
なお、チケットは、これも事前予約が好ましいでしょう。
このように、丸一日観光しても、まだ見物し切れません。
二日目を割り当てられるなら、日程と好み次第ですが、近隣のナパ、ソノマ、カリストーガといったワインの産地を訪問してみるのもいいでしょう。残念ながら、試飲は有料ですし、レンタカーで移動する場合は飲酒運転は絶対にダメなので、なかなか悩ましいですが(観光バスがある)。

お酒に興味がなく、かつ丸一日以上を費やせるのなら、ヨセミテ国立公園に行くという手があります。
宿泊するつもりがないのなら、グレイラインのヨセミテ・ツアーで14時間かけてサンフランシスコから往復するといいでしょう。ですが、宿泊込みでじっくり味わいたいと思うなら、やっぱりここも予約がまず先です。アメリカ人にとっても国立公園は素晴らしい観光ポイントなので、直前の空室などまずないと思ってください。
ロスアンゼルスでは要注意
続いてロスアンゼルスの攻略です。
こじんまりとして観光しやすいサンフランシスコと違い、こちらはいろいろ問題含みです。

まず、交通手段は高くついてもタクシーと考えてください。サンフランシスコの場合、自転車だけでなくいろんな市内電車みたいなものがたくさんあって、それらを利用するのも旅の醍醐味だったのですが、ロスアンゼルスでは、あまり公共交通機関に頼らないほうがいいのです。
理由は、治安です。コンプトン、サウス・ロサンゼルス、スキッドロウなど、危ないところがいくつもあります。基本的にロスアンゼルスは車社会なので、公共交通機関を利用している層は、あまり収入もなく、従って犯罪者も多い傾向があります。
しかし、ロスアンゼルスの広さは関東平野並みと言われるほどです。純粋にタクシーだけでは厳しいものがあります。ならばレンタカー、と言いたいところですが、土地鑑もなく危険地帯に踏み込んでしまったら大変です。なにしろ「赤信号でも止まるな」と言われるほど危ない場所もあるのですから。
もっともダウンタウンからハリウッド方面、またはサンタモニカ方面に出るなら、犯罪多発の危険地帯を通るわけではないのですが……
少なくとも、日本の東京みたいに「酔っ払った女性が一人で歌舞伎町のド真ん中を歩いていても無事」なんてことはありません。夜は夜で、ライブやコンサートを楽しめるのですが、その後はタクシーなどでホテルに直帰してください。
以上の事情により、こちらもかなりの計画性をもって行動することが求められます。
ロスアンゼルス観光は、大きく分けて三つです。
- 音楽や演劇、スポーツ観戦を楽しむ
- 博物館、美術館を巡る
- ビーチ
- ミーハー
以下、説明します。
まず「音楽や演劇、スポーツ観戦」……
これは、ダウンタウンを中心に、スポットがいくつもあります。
最初に挙げるべきはLAライブです。
敷地内をウロウロするだけでスポーツ観戦からライブ、食事まで、なんでも揃っています。
ミュージックセンターに行けば、ロスアンゼルス・フィルハーモニックの演奏を聴くことができます。

次に「博物館、美術館」ですが、これも数多いです。
ロスアンゼルス現代美術館もいいですが、他にも音楽ファンならグラミー博物館に立ち寄ってもいいでしょう。ブロードやエクスポジションパークなど、見所はダウンタウンだけでもいくつかあります。
それから「ビーチ」ですが、これはサンタモニカ地区の海のことです。
明るいカリフォルニアという雰囲気を満喫できる場所です。サンタモニカピア(木の桟橋)は有名です。
最後に「ミーハー」ってなんだ、ということですが……
ロスといえばハリウッド。ハリウッドといえばビバリーヒルズです。また、ウォーク・オブ・フェイムのように、有名人の名前が歩道に刻まれた場所もあります。ハリウッド&ハイランドの横には、スターの手形が刻まれたTCLチャイニーズシアターもあります。
こういったところを訪れて、何かを感じたいという人のために、ツアーが催行されています。
また、ユニバーサル・スタジオ・ハリウッドというテーマパークがあります。映画のワンシーンを体感したり、撮影のテクニックを見学したりできます。映画が好きな人なら、楽しめるでしょう。
ロス近郊の観光
こうしたロスアンゼルス市内では物足りないという方は、郊外や近隣の公園に遠征に出かけるのがいいかもしれません。
郊外の見所としては、何れもダウンタウンからは南東方向になりますが……
まずはディズニーリゾートがあります。ここは本家本元のディズニーなので、好きな人なら是非、行っておきたいところです。
それから、ナッツ・ベリー・ファームもあります。こちらも、要は遊園地です。ホテルも併設されています。
ただ、少しルートから外れているとはいえ、犯罪多発地域が間にあります。うっかり迷い込まないよう、気をつけてください。
ロスアンゼルスからいける国立公園は、2,3ほど存在します。

一つ目はセコイア国立公園です。
有名なシャーマン将軍の木があります。世界最大の樹木であり、生命体です。
日帰りは、無理すればできなくもないですが、宿を取ったほうが無難でしょう。例によって、国立公園内の宿泊は、人気殺到のため、事前予約が不可欠です。
セコイア国立公園から、ほぼ途切れなく行けるのが、キングスキャニオン国立公園です。できるなら、セットでまわりたいものです。

もう一つはチャネルアイランド国立公園です。
フェリーで渡航するしかないので、これも日帰りはできなくもないですが、かなり慌しくなります。島によっては「片道3時間」とか、普通です。ですが、宿泊するならキャンプの準備も必要になってきます。シーズンとしては、特に春は霧が出やすいので、冬から早春にかけてがベストでしょう。
世界最大の海の洞窟をはじめ、美しい景観が数々見られる場所です。サンタクルス島をはじめ、五つの島々から構成されています。
サンディエゴの観光
西海岸南部の最後の一箇所は、サンディエゴです。
なんといっても海を楽しめる場所ですが、そこはそれ、アメリカの観光地ですから、いかにも観光地化されています。

一つの目玉となるのはバルボアパークでしょう。
自然史博物館、航空宇宙博物館、美術館などがある他、日本庭園まであって、退屈しません。ですが何より注目すべきはサンディエゴ動物園でしょう。
このサンディエゴ動物園の延長にあるのが、サファリパークです。ダウンタウンから車で40分ほどのところにありますが、広大な敷地に動物が自然のままに置かれています。エサやりでキリンにも間近にくっつけます。

海に面した環境を生かして、シーワールド・サンディエゴも運営されています。これは海洋生物のショーと、その保護、飼育に努める施設でした。しかし、ショーのほうは、アメリカ国内でも批判が高まり、今では行われなくなりました。と言いながら、海を渡ってメキシコ側のカンクンなどでは、今でもイルカと遊べる場所があるんですけどね……
クルージングも盛んで、ブロードウェイ・ピアからは短時間の湾内クルーズから、冬場はホエールウォッチングまで、様々な楽しみ方ができます。
対岸のコロナドに渡れば、あの有名なホテル・デル・コロナドを見物できます。

できれば、美しいラ・ホヤの海を見ながら、砂浜をそぞろ歩きたいものですね。
西海岸のまとめ
サンディエゴにも国際空港はありますが、普通はサンフランシスコやロスアンゼルスが玄関口になるかと思います。
その場合、ロスから移動するなら、バスや電車で2時間半~3時間ほどかかります。ロスアンゼルスのついでに寄るにもちょうどいい場所です。
むしろ大変なのは、サンフランシスコ~ロスアンゼルス間の移動でしょう。飛行機でも、待ち時間込みで計算すると4時間はかかります。
これをどう考えるかですが、それでも速度を重視して空を飛ぶか、他の選択肢をとるかです。
例えばレンタカーで移動すれば、海沿いを通れば美しい光景を楽しみながらの旅ができます。但し、自分で運転する労力もかかるし、安全リスクもあります。当然、日中の移動になりますから、旅程を一日使うことになります。
列車で移動した場合、半日以上かかります。それを逆手にとって、夕方から夜にかけて、エメリーヴィルから南下すれば、翌朝ロスアンゼルスに到着できます。車窓の旅を楽しみながら、寝る時間もコミで移動するのも、ありかもしれません。バスのが速いくらいなんですけどね。
総合すると、西海岸南部の旅だけでも、あれもこれも見ようとすると、一週間でも足りないくらいです。
目的地を絞り込んでおきましょう。